1.法秩序の中での会社法の役割
(1)憲法で保障された営業の自由と会社との関係
憲法22条1項は、職業選択の自由は、生計を維持するべき経済的活動・社会の存続と発展に寄与する社会的活動を持つものとして尊重されるべきであるとして、職業選択の自由を保障する。
そして、「職業選択の自由」には、自己の従事すべき職業を選択するだけでなく、選択した職業を遂行の自由も含まれるとする。そして、営利を目指す継続的・自主的な「営業の自由」も、選択した職業を遂行する事由に含まれる。よって、営業の自由は、職業選択の自由の一形態として、憲法上保護されている。
しかし、営業の自由は、精神的な自由と比べて、一般により強い規制を受ける。すなわち、憲法22条1項で規定している「公共の福祉に反しない限り」という留保による規制である。
そのため、会社の自由な経済活動は原則として保障されるべきであるが、その経済活動により社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合は、その弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制が会社に課せられる。
また、福祉国家的理想の下で、社会経済の均衡の取れた調...