特許権と著作権の権利範囲の認定の手法
特許権の権利範囲の認定の手法
特許権の権利範囲となる特許発明の技術的範囲は、特許出願の特許請求の範囲に基づいて定められる(特許法70条1項)。特許請求の範囲は、出願人が権利付与を求めた特許発明が記載される書面であって、特許庁の審査官による審査対象となる書面だからである。
しかし、特許請求の範囲は、特許発明のみを文章で表現したものであるため、当該発明の解決する課題やその効果、具体的な実施形態は読み取ることが困難である。そのため、70条1項の解釈の際には、明細書全体の解釈を通じて技術的範囲を決定しなければならない(70条2項)。さらに、信義則上、出願審査経過において出願人が意識的に除外された事項は包袋禁反言の原則から技術的範囲から除かれる。また、衡平の理念から、特許権の効力は、所定の5要件を条件に特許請求の範囲の均等物にも及ぶ(均等論)。
著作権の権利範囲の認定の手法
著作権法では、特許権として一つの権利を構成する特許法と異なり、著作権は一つの権利ではなく、著作物の利用形態に応じて、複製を始めとした支分権の束として規定される(著作権法21~28条...