イギリスの劇について、エリザベス朝演劇を中心に論述しました。
本科目では記述内容が多く、バランスよくまとめるのが難しいですが、なんとかA評価でした。
内容のまとめに困っておられる方は、参考にして頂ければ幸いです。
イギリスの劇について述べなさい。
イギリスの劇は、儀式から独立し聖書に基づく出来事を劇化した奇蹟劇や、その後に善徳や悪徳などの抽象概念を擬人化し、人生の相を寓意的に示す劇である道徳劇などを経て、16世紀に本格的な戯曲が登場した。それでは、具体的にイギリスの劇について論じる前に、イギリスの文学に影響を与えた文化的・社会的背景について確認しておきたい。
イギリス文学について考える際には、根底にあるヘレニズムとヘブライ思想について理解しておく必要があるだろう。ヘレニズムとは、学問や芸術分野において、鋭い直感と批判的能力、知と真理、完全美へのあこがれ、人間性を高く発揮しようという高い精神と情熱により、他の諸民族が到達することのできなかった高い水準にまで引き上げることで、ヘブライ思想とは、人間が罪の意識に目覚めて、人間的なるもの、地上的なるものを否定し、現世を超越した宗教的理想に生きようとする彼岸的精神を指す。このような、文化的側面と宗教的側面の影響を前提としてイギリス作品は存在しており、大人性、老人性を持った性質から大人の文学とも評されている。
さて、本格的な悲劇の端緒として『ゴーボダック...