第一次世界大戦(1914)での日本の立場は、当初、中立を表明していた。イギリスと比較して工業分野では後進国のドイツが世界をリードする工業国になり日本はお手本としていたが、軍事面では、イギリスの中国本土支配の維持面から「日英同盟」を結んでいた。その後、日本は、その同盟の立場からイギリスやフランス等の連合国から戦争支援要請を受けたため、お飾り的 にドイツに宣戦を布告した。日本の参戦理由は日英同盟によるものであったが、日英同盟は必ずしも日本の参戦を義務づけるものではなかった。では、どのような理由であったのだろうか。私は、欧州における大戦で日本という名前を世界に知らしめる絶好のチャンスととらえ、日清・日露戦争に勝利した日本が波に乗り、世界における地位を高め、日本は東アジアの中で地位を確固たるものにする立場があったと考える。即ち、日本は、東アジアの平和を確立することを目的としたもので、日露戦争までが日本の安全保障と権力競争等、国家の危機を盾にやむなく受けて起った戦争であるのに対し、このドイツへの宣戦布告という第一次世界大戦は、上記のような国策遂行の立場としての戦争であったと考える。
一方長らく...