日本の光と闇~建築基準法~
まず本レポートは、光と闇をそれぞれ、一般によく知られていること、一般によく知られていないことと定義付けて以下を論じる。
東京駅から少し歩けば分かることではあるが、東京都には高層ビルが多数存在している。今回光として扱うのは、この「東京に高層ビルが多数存在する」という事実であり、逆に闇として扱うのは、「なぜ高層ビルが多数存在し得るのか」という疑問である。これは、東京が日本国の中心という概念的なものではなく、それが許されている理由の言及である。
容積率
建築基準法では、結果的に建物の高さを決めているものを容積率という。容積率とは、建造物の延べ床面積の敷地面積に対する割合のことで、それは用途地域ごとにそれぞれ異なっている。一番容積率の大きい用途地域、言い換えれば、一番高い建物が建築可能な用途地域は、商業地域である。商業地域の容積率は、20~130/10であるが、例えば都庁などは、どちらにしても容積率の比を越えていることになる。
特例容積率適用地区
都庁に限らず、容積率の割合を越えて建築している建物は、都内には数多存在している。それが許される理由へと直結する制度が、特例容積率適用地区である。簡単に言えば、未使用の部分の容積率を譲渡することができる制度である。いくつかの条件はあるが、この制度を適用すれば、容積率を越えて建築してある建物の説明がつくことになるのである。
しかし、容積率の購入場所が単純な疑問点として挙げられる。容積率を越えて建築している建物は、一般個人の能力では計測不可能な程に存在していると予想できる。これほどまでに膨大な量の容積率は、本来なら何処にあったのだろうか。
予想ではあるが、東京駅ではないかと考えられる。東京駅の面積は、約168318㎡である。東京駅は3階建てだが、仮に130/10の容積率を東京駅が有しているとすれば、その未使用部分の容積率は莫大な量になる。この前提が正しいとすれば、東京都内の大部分の高層ビルは、東京駅から容積率を購入しているのではないかと予想できるのである。
3.まとめ
建築基準法というものがあることも、都内には高層ビルが多数存在することも我々はよく知っている。にもかかわらず、そこにおける矛盾に疑問を持つ者は少ないように思える。
本レポートでは上で定義した光と闇の他に、日本人の物事に荒波を立てない光の性格に対する闇として、既知の物への懐疑心の薄弱さをも見出すことができたと考えている。