社会科の歴史や学習指導要領の変遷、「授業とはなにか」、「公民的資質」を総合的に考察し、公民科授業のあり方を説明しなさい。
平成21年版学習指導要領(以下、○○年版と略す)において、中学校社会科の目標は「公民的資質の基礎を培う」とされており、高等学校公民科の目標は「公民としての資質を養う」とされている。この「公民的資質」については、1970年の『中学校指導書社会編』において、その中核としての5項目が掲げられている。これらは戦後一貫した憲法の精神に基づいた「国民主権を担う公民」の育成を目指したものである。また、旧教育基本法第8条(新教育基本法第14条)の「良識ある公民たるに必要な政治的教養を教育上これを尊重しなければならない」を受けたものでもある。
目標に示される公民的資質とは、いかなるものであろうか。先述の中核としての5項目を見てみるとそれぞれ自覚、態度、教養、認識、諸能力が公民的資質として掲げられている。これらの要素が公民的資質として掲げられる理由を知るには、社会科の歴史と学習指導要領の変遷を追わなければならない。
戦前の社会科は、明治期では教育勅語による愛国心や国民意識の高揚を図るナ...