健康を維持するための食事について述べよ。

閲覧数2,757
ダウンロード数41
履歴確認

    • ページ数 : 9ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    資料の原本内容

    「健康を維持するための食事について述べよ。」
     食べることは健康の基本である。健康とはただ単に病気や虚弱ではなく丈夫な様を指しているだけではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、全てが満たされた状態であることをいう。しかし、全てが満たされた状態というのは難しい。精神面での健康増進も、これからの社会では必要である。現代の社会情勢は急速に変化し続け、ストレスの多い社会だといわれている。ストレスを感じると、感情の乱れや判断力の低下など行動面に変化が現れる。また、ストレスによって飲酒、食欲不振、過食など食行動にも影響が生じる。食生活と心の健康は深く密接しているのである。

     健康を維持するためには、栄養・運動・休息が必要である。中でも栄養バランスのとれた食事を摂るということは、人間が健康を維持するために必要不可欠である。では栄養バランスの取れた食事とはどのような食事だろうか。

     私たちが身体をつくり、エネルギーを得て、生きていくためには五つの栄養素が必要である。エネルギーの源となる「糖質」「脂質」「タンパク質」を三大栄養素といい、体の調子を整えるための成分「ビタミン」「ミネラル」の二つを加えたものを五大栄養素という。他には「食物繊維」が注目を浴びている。食物繊維は、便秘の予防や解消、肥満の予防や動脈硬化予防などに大変効果があるとされている。

     ここでは五大栄養素についての働きと共に、不足した場合と過剰摂取した場合の影響について考察していく。

    1.糖質

     糖質は脂質に比べて、エネルギーとしての燃焼のスピードが早いのが特徴である。糖質は脳や神経系に対して唯一のエネルギー源となっており、糖質が不足すると脳の働きが鈍くなったり、エネルギー不足になり疲れやすくなる。また過剰摂取した場合には体脂肪として貯蔵され、肥満の原因となる。肥満になると高血糖や高血圧などにつながり、放置しておくと生活習慣病を引き起こす。

    2.脂質

     脂質は主にエネルギー源として使われる。脂質は糖質と共に、人間が活動するのに必要なエネルギーを供給する為に働く。細胞膜や血液などの構成材料にもなる。脂質が不足するとホルモンバランスが乱れ、肌荒れや便秘の原因となる。過剰摂取した場合は、肥満や高脂血症、動脈硬化などを起こしやすくなり、生活習慣病の原因ともなる。

    3.タンパク質

     タンパク質は私たちの身体の筋肉、血液、臓器をつくったり、ウイルスや細菌の感染から身体を守り、消化や体温調整を助ける役割がある。タンパク質は糖質や脂質のように貯蔵することが出来ず、過剰摂取した場合は排泄される。そのため腎臓に負担をかけ、腎機能障害につながる恐れがある。不足した場合は体力や免疫力が低下し、子どもでは成長障害を起こす。

    4.ビタミン

     ビタミンは、タンパク質、糖質、脂質や酵素などの働きを助ける潤滑油の役割をする。少量で体の生理機能を正常に働かせることができ、代謝を円滑にする働きがある。ビタミンが不足すると、特有の欠乏症があらわれ、過剰摂取した場合は、過剰症を起こす。

    5.ミネラル

    ミネラルは無機質ともいい、人体の機能調整や維持に欠かす事ができない栄養素である。ミネラルが不足すると様々な欠乏症があらわれ、過剰摂取すると高血圧症などを引き起こす場合がある。

    体内に吸収された栄養素はそれぞれの役割を果たし、エネルギーに変わっていく。栄養素をバランスよく摂取することが健康への最低条件となる。不足も過剰摂取も健康障害を引き起こすので、適量を知ることが大切である。

    栄養バランスのとれた食事の目標に、国が推進している「食生活指針」が参考になる。栄養バランスのとれた食事とは「主食、主菜、副菜」がそろった献立であり、これを基本に食事のバランスを考えていくとよい。主菜が欠けるとタンパク質不足に、副菜が欠けるとビタミン・ミネラル不足になったりと、栄養バランスが崩れてしまう。穀類を毎食とり、野菜や果物でビタミンやミネラル、食物繊維をとることが大切である。他にも牛乳や小魚などでカルシウムを充分にとることも大切といえる。

     バランスのとれた食事は勿論のこと、食事を楽しむことが重要である。家族との団らんや人の交流を大切にし、心と体においしい食事を味わって食べるということが大切である。

     しかし、現代はエネルギーや脂肪の過剰摂取、不足をはじめ、朝の欠食、孤食、加工食品や外食への依存など、様々な問題が生じている。現在子どもから大人まで着実に肥満が増え、生活習慣病の低年齢化の傾向も表れている。肥満の原因となる環境要因として次の三つがあげられる。

    1.食べ過ぎ

     飽食時代となり食べ物があふれているため、子どもも大人も食べ過ぎてしまう。また親が子どもを過保護にしがちで、食べ物を与えすぎることがあり、よって摂取カロリーのオーバーで肥満につながることになる。

    2.運動不足

     カロリーを多く摂っても、消費カロリーの方が多ければ肥満にはならない。だが現代では子どもが外で遊ばなくなり、家の中で遊ぶことが多くなった。このことから今の子ども達は総体的に運動量が減ってきている。

    3.ストレス

     突然の大きなストレスは食欲を減退させ、慢性的な軽いストレスは食欲を増進させる。ストレス社会の影響もあるが、学習塾などで忙しい子どもは精神的にストレスを受けやすい。ストレスを溜め込みイライラすることで食べ物に手が伸びてしまう。

     親が子どもの生活に十分注意を払わないと子どもの食生活は乱れてしまう。家族全員で食生活を正していく姿勢が重要である。いったん身についた食習慣を大人になって変えていくのは困難である。したがって、幼少の頃から生活習慣病を防ぐ食生活を身につけていくことが大切である。自ら食品選びや食事作りに積極的に参加していくことは、食べる力、生きる力を育むことにつながっていくのである。

     以上健康を維持するための食事について、五大栄養素、栄養バランス、過剰摂取による肥満や生活習慣病、ストレスと食生活の関係などを通して考察してきた。現代ではストレスや外食への依存、夜型生活など、生活習慣が乱れがちである。健康を維持するための食事をとるには、食習慣を見直し、栄養バランスのとれた食事を心がけていくことが最も重要である。また、肉体面での健康増進だけではなく、家族全員で食事を楽しむことが大切である。親が子ども達の食生活についてしっかり考えていくことや、ストレスと上手につきあっていくことで精神面での健康増進につながり、健康を維持するための食事ができると考える。
    参考文献

    食の乱れで、いま日本の子供が危ない 新装版 小林英二 東京図書出版会 2001年

    栄養の基本がわかる図解辞典 中村丁次 成美堂出版

    生活と健康といのち 川畑徹朗 学研

    社団法人 日本WHO協会 

    http://www.japan-who.or.jp/index.html

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。