前近代社会において、家庭では自給自足の生活を基盤にしながら、宗教的、文化的、性的機能などを持ち合わせていたが近代社会になるにつれ、自給自足の経済的機能が多くの家庭で見られなくなってきた。そして家庭にかわる他の場所、施設、機会などが存在し家庭本来と言われた機能は失われていった。また、国民により広い範囲で職業選択などの社会移動の自由をもたらし、それまでとは違い学問を修得し上級学校に進学することが自分たちの社会的地位を決定するようになっていった。この中で学校はどのように人間形成と公民教育とに関わっているかというと、1980年に発表された総理府による「国際比較 日本の子供と母親」の調査で、日本の家庭では教師に対してあまり権威を認めていないものの、学校に通うことに対して高い関心を示していることが分かった。この理由として藤田英典は、学校の重要性は消極的なものであって積極的なものではない。学校教育は目標達成の積極的手段としてよりも、むしろ逸脱者、落伍者のレッテルを貼られないための、あるいは将来の機会を失わないための必要条件であると述べている。こうして学校はかつてのように、個々の人間形成や公民意識を育...