ボランティアやNPOといった概念は、伝統的な日本の社会運動にはなじみが薄かった。しかし、これらの概念こそが社会変革を担うのだという主張が政治、経済のあらゆる場面で繰り返し主張される中で、社会運動を社会運動と自覚して担っている人々はこの事態をどのように理解すべきなのであろうか。
「ボランティアの時代」「NPOの時代」はその名が示すとおり、阪神淡路大震災をきっかけに急速に広まったボランティア意識と、ボランタリーな意識と行動を組織化するにあたって注目された組織形態であるNPOにおいてもっともよくその特徴を表すものである。しかし果たしてボランティア意識やNPOという組織形態を焦点化するこの新しい状況は、伝統的な社会運動にとって、はたしてどのような状況を生み出したのか。
ボランティア対社会運動という対立図式は、1960年代からずっと存在した。当時の社会運動の高揚に対して、ボランティア派の市民はこれと一線を画した。なぜならば、社会運動の立場に立った人々が行政や企業などとの対峙を強調し、ボランティア派の目には排他的な運動と映ったからである。他方、ボランティア活動が行政主導の活動に与するので、社会運...