相談援助の理論と方法3

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    『相談援助の理論と方法3』
    「「ネットワーキング」についてのべなさい」

    資料の原本内容

    『相談援助の理論と方法3』
    「「ネットワーキング」についてのべなさい」
     ネットワーキングとは、個々の違いを認めつつ、多様化と多元化を促進する動態的なつながりづくりの過程を指す。当事者の生活に密着しながら、問題解決のネッワークを拡充していくことが重要となる。
     リップナック・スタンプ夫妻によれば、「ネットワークとは、われわれを結びつけ、活動、希望、理想の分かち合いを可能にするリンクである。ネットワーキングとは、他人とのつながりを形成するプロセスである」とのことである。
     日本におけるネットワーキングの提唱者である金子は、以下の通り述べる。「ネットワーキングという言葉は、一般にネットワークが形成される過程を意味するものであるが、それは同時にネットワーク形成過程の背後にある個と個の関係、個と全体の関係についての個人的な思想や想いを暗示する言葉である。ネットワークというのは、それぞれ独立した「個」が互いの違いを認識しあいながらも、相互依存関係で自発的に結びついたもので、ある種の緊張の中で意味と価値を作り出していくプロセスである。」
     ネットワーキングが求められる現代の背景として、不況や少子高齢化、核家族化や単身化等の世帯の縮小化に伴うコミュニティの希薄化などの閉塞感から、既存組織制度を超えて新たな社会を創造していく「つながり方」が模索されている。これまでの既成の組織や制度内での連絡・調整を超えた方法として、ネットワーキングが注目されている。ネットワーキングは、共生社会を目標として個人・集団を再組織化していくアプローチである。
     地域福祉論においてネットワーキングは、要援護者を支えるソーシャルサポートネットワークを形成という意味で使われることが多い。自治体ではとくに、医療・保健・福祉のネットワークの形成が重要な政策課題となっている。
     山手は、地域福祉実践におけるネットワーキングの課題として、ミクロ・メゾ・マクロのレベルにおいて以下の3点のネットワークづくりを挙げる。①専門職の連携のみならず、ボランティア・友人・隣人・近親者などのインフォーマルネットワークを含むソーシャルサポートネットワーク(個人に焦点を置いたパーソナルなミクロ・ネットワーク)、②セルフヘルプグループへの注目とその活動を支援するネットワーキングおよびセルフヘルプグループが行うソーシャルアクションを支援するソーシャルアクションネットワーキング(当事者組織や仲間集団を意味するメゾ・ネットワーク)、③地域福祉を推進するための総合的なネットワークの形成(社会制度的な組織の連携をさすマクロ・ネットワーク)
     松原は、ネットワーキングにおける3原則として、以下のものを挙げる。①緊急性の原則…その対象の自らの力だけで及ばないニーズの充足や早期解決の必要性がきわめて高い問題に取り組むこと。②普遍性の原則…地域社会に普遍的に見られる福祉問題に対処すること。③タスク志向の原則…問題解決、ニーズ充足に代表される課題遂行の側面が「和」の文化に加えて、ネットワークで強調されること。
     1980年代より、住民福祉活動としての小地域福祉活動から、小地域ネットワーク活動が社会福祉協議会を中心に実践されはじめた。小地域ネットワーク活動としては、例えば、見守り・小地域たすけあい活動、小地域ネットワーク連絡会の開催などである。

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