精神保健福祉援助技術各論

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    精神保健福祉援助技術各論
    「精神科医療機関における精神保健福祉士と他の専門職とのチームアプローチの意義と内容を述べなさい」

    資料の原本内容

    精神保健福祉援助技術各論
    「精神科医療機関における精神保健福祉士と他の専門職とのチームアプローチの意義と内容を述べなさい」
     近年では、患者・家族のニーズの多様化に対応するために、また、医学の専門化・高度化や医療の細分化に伴い、チーム医療が重視されている。医療のなかでもとくに精神医療において、チーム医療は発展してきた。
     1950年代から向精神薬の発達により、症状が軽快し退院可能な患者が増加するようになると、精神障害者のリハビリテーションが精神医療の新たな課題となってきた。精神科医療機関において、精神保健福祉士が配置されるようになったのは、アメリカにおいて発展した力動精神医学の理論が我が国に導入され、精神保健福祉士の役割と機能が患者の治療やリハビリテーションを進めるうえで有効であることが周知されてきたことによる。
     精神科医療機関におけるチーム医療(チームアプローチ)は、精神科医、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者、作業療法士などのスタッフが、情報を提供し専門性を相互に分かち合いながら、共通の理解のもとに治療と援助目標に基づいて協力することである。チーム医療は、精神病患者の早期治療による早期退院や社会復帰に対する新たな可能性と課題を実現するために、必要不可欠なものである。
     チームアプローチは、異なる専門職種がチームを編成して共通の目的を達成するために協力することである。各専門職が独自に持つ知識・技術を使い、お互いの専門性を尊重しながら、協働作業を実施する。
     チームアプローチの意義としては、以下のとおりである。
    ①自分のかかえている問題をそれぞれの専門化に相談でき、多元的な人間関係を構築できる。②自らの専門性を発揮して、責任を持って治療と援助行為を実践できる。③病状・治療方針・治療経過を共有化して、状況に応じた重層的なかかわりと医療が行なえる。④患者・家族を多方面から理解し、チームとしての統一した見解を持てる、⑤スタッフ同士で支えあい、話しあいの場をもち不満を解消し、構成員の成長を図ることができる。
     チームは、患者(とその家族)に良質の保健・医療・福祉サービスを提供することを目的としている。患者中心の可能性を探り、患者の意向と都合を最優先し、問題解決の方法を共に探る援助が望ましいということを、チームを構成するメンバーは合意しなければならない。チームアプローチは、固定化したりパターン化したりするものでなく、患者の状況に合わせて変化するべきものである。
     精神保健福祉士の役割としては、医学的立場から症状を理解し、治療と看護を行なう精神科医や看護師などと連携しながら、患者を取り巻く対人関係や社会関係などの生活上の背景に視点を置いて、生活者志向で考えていくことが重要である。患者がどのような生活を望んでいるかを知り、自分の力で生活課題に取り組んでいけるかを援助するというように、患者の自己決定の保証の姿勢を堅持するべきである。また、入院した患者は、社会から隔離されて、社会関係が切断される恐れがあるが、精神保健福祉士は、家族・友人・職場などとの関係が壊れないように配慮し、生活の連続性を維持していけるように努めなければならない。
     入院中、病院では十分なマンパワーがないため、集団による効率的な管理が生じる恐れがある。集団による管理が継続すると、患者の自律性が弱まり、依存性を強め、ますます社会に出て行くことが困難となる。これが長期の社会的入院の要因の1つであるが、精神保健福祉士はそうならない入院のあり方を、医師や看護師とともにチームで考えていく必要がある。患者の個別性を常に意識し、個人の人生の重みと一人ひとりのその人らしさをきめ細かく受け止めていくことが求められる。
     精神保健福祉士の精神科病院における役割は多岐にわたっている。その業務は以下のとおり整理され、これらの役割を遂行しつつ、他の専門職とのチームアプローチを実践していくこととなる。
    ①受診・医療相談、②インテーク、③療養上の問題調整援助、④経済的問題調整援助、⑤家族問題調整援助、⑥就労・就学・住居に関する調整援助、⑦退院援助、⑧人権擁護に関する調整援助、⑨集団への援助、⑩地域との連携と退院後の援助

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