アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した事態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれかひとつの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。
はじめに
新自由主義とは、自由や競争を「誰もが与えられる機会の平等」とし、それらによりサービスの質が向上し、国民の生活が便利に豊かになるという考え方である。他方、自由競争の原理のもと、国の仕事が民営化され、競争に負けていった者たちを守るはずの社会保障費は削減されていくことになる。そのため、中間層から貧困層へ転落していくものが増え、貧困層は「勝ち組」の利益を拡大するシステムに食い込まれてしまい、結果「貧困大国」を生み出すことになった。以下では、これらが与えた影響について、特に戦争の領域について考察する。
1.民営化された戦争
グローバル市場において最も効率よく利益を生み出すものの一つに弱者を食いものにする「貧困ビジネス」があるが、その国家レベルのものが「戦争」である。1990年代の「外注革命」をモデルとして、アメリカ政府は国の付属機関を次々に民営化していっ...