日本において、「土建国家」はどのような背景で成立し、どのようなメカニズムによって支えられていたのか、1)公共投資の観点 2)社会保障の観点から、具体的に説明せよ。
土建国家とは、経済成長を前提としつつ、公共投資と減税を政策の中枢に据えた利益配分システムである。以下に1)公共投資の観点 2)社会保障の観点 からその成立とメカニズムについて、まとめとして 3)土建国家の限界 について述べる。
1)公共投資の観点
公共投資は都市と地方の所得格差を是正し、さらに低所得層を社会保険に包摂する仕組みであった。
戦後の日本財政は公共事業に長く依存してきた。日本の公共投資が国際的に見ても突出した地位にあったことは疑いようがない。1970年代前半、オイルショックによる不況克服のため先進各国で公共投資は一時的に増大さえしたが、その後80年代には横ばいに推移する。その中で日本は公共投資の対GDP比を上昇させ、80年代前半の抑制期を経て、90年代に入ると他国の2倍近い圧倒的な水準で投資が実施されるようになる。
つまり日本の土建国家の中枢である公共投資に依存した財政は1970年代を契機に形成されたといえる。...