設題:「仮名づかい」について述べよ。
テキスト:国語学、学術図書出版社、田中みどり
「仮名づかい」について述べよ。
「かな」は、日本語を書き表すために作られた表音文字(音節文字)である。漢字を真名(本当の文字)とみるのに対して、仮名(仮りの文字)と呼んだものである。仮名は広義では、万葉仮名・平仮名・片仮名の三種をさすが、ただ、万葉仮名は漢字をそのまま用いるので、真仮名ということもある。したがって、狭義では、平仮名・片仮名のことをさすのである。
仮名づかいを考えるにあたって、まずは仮名が生まれた歴史を見てみよう。日本において最初に用いられた文字は、中国から伝来した漢字である。その漢字は、本来中国語を書き表す文字として、漢民族によって作られたものである。漢字の起源は極めて古く、漢民族が長い年月をかけて作り上げたものである。
その漢字が日本へと伝来し、使用されるようになった後、万葉仮名が作られた。万葉仮名とは、漢字をその本来の意味とは関係なく、その音・訓を借用して表音文字としたものである。万葉仮名は「万葉集」にその代表的な例が多く用いられていることに基づく呼称である。万葉仮名のうち、漢字の音を借りたものを音仮名、漢字の訓を借りたものを訓仮名という。万葉仮名は漢字の音や...