正規雇用と非正規雇用の格差是正を目的として改正されたパートタイム労働法を取り上げ、それでも尚残る格差の問題について説明しております。また、自社雇用による契約社員の法的問題と派遣社員の法的問題も取り上げております。
■正規雇用と非正規雇用の格差
図1は平成21年6月の日本国内における、正規雇用と非正規雇用の所定内給与額の年齢別賃金曲線である。正規雇用は年功賃金だが、非正規雇用の賃金は上がらない。
出所:厚生労働省「平成21年賃金構造基本統計調査」のデータをもとに作成。
非正規雇用の賃金が上がらない主因は、有期契約により勤続年数が短いからである。それにより再就職の都度、初任給扱いとなり、どの年代でも低賃金となる。技能が高ければ再就職時でも高賃金が見込めるが、非正規雇用は勤続年数が短いことから職務遂行を通じて技能を高める機会が乏しい。その結果、職務経験が賃金に反映しにくい。無期契約の非正規雇用では勤続年数に応じて昇給も考えられるが、パートタイム労働者総合実態調査を見ると、非正規雇用の昇給は一部の労働者にしか実施されていないことがわかる。これは、レベルの高い職務を与えられないことや、そのために必要な教育訓練の実施が行われていないからである。
以上では、正規雇用と非正規雇用の賃金の格差を説明したが、その他の事柄においても非正規雇用の処遇は冷たいものである。このため、非正規雇用の処遇を改善するために...