就業規則と労働協約をふまえながら、労働条件の不利益変更について説明しております。また、最高裁の労使問題についても取り上げております。
労働者と使用者の契約内容は個々に定める労働契約によって定められ、また変更も可能であるが、その内容は法律や就業規則、労働協約の定めに従わなければならない。このことから、労働契約は集団的ルールによって規律されており、従って集団的ルールの定めを下回る条件での労働契約の締結や変更は無効となる。
■就業規則による労働条件の不利益変更
労基法では、使用者が就業規則の変更を行う場合、当該事業場の過半数組合もしくは労働者の過半数代表の意見を聞く必要があるとしている。このことから労基法上では労働者の同意が無くても就業規則の変更は可能としている。しかし、契約内容は当事者の同意によって形成されることが近代法の原則であることから、使用者が一方的に就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更することは問題とされてきた。
労使で利害が相反する就業規則変更は問題となるが、この問題は秋北バス事件によって裁判実務上で次のように決着がついた。就業規則が明示され、その内容が合理的である限り、労働者が同意しないことを理由に労働条件の変更を拒否することは許されないとし、変更後の就業規則が労働契約を規定するとした。しかし、...