各種統計を用いながら、非正規雇用と正規雇用の格差について説明しております。
非正規雇用は正規雇用に比べて待遇等に格差があり、結果として非正規雇用の生活状況は窮乏していると言われている。具体的にどのような局面で格差が生じ、そしてその格差は生活状況にどのような影響を与えているかについて、データを用いながら説明する。
■正規雇用と非正規雇用の格差
図1は平成21年6月の日本国内における、正規雇用と非正規雇用の所定内給与額の年齢別賃金曲線である。正規雇用は年功賃金だが、非正規雇用の賃金は上がらない。男女を分けて見ると、男性の正規雇用は年功賃金が著しいことから30〜50代にかけて賃金格差がひろがっている。女性の場合、正規雇用の年功賃金が緩やかなことから賃金格差は小さい。
図1:正規雇用と非正規雇用の所定内給与額における年齢別賃金曲線
出所:厚生労働省「平成21年賃金構造基本統計調査」のデータをもとに作成。
非正規雇用の賃金が上がらない主因は、有期契約により勤続年数が短いからである。それにより再就職の都度、初任給扱いとなり、どの年代でも低賃金となる。技能が高ければ再就職時でも高賃金が見込めるが、非正規雇用は勤続年数が短いことから職務遂行を通じて技能を高める機会が乏し...