イギリス文学史Ⅰ(分冊1)合格レポートです。
「中世英文学の重要な詩人、散文作家5人の特性をバランスよく、うまくまとめている」との評価をいただきました。
ご参考になれば幸いです。
イギリス文学史Ⅰ (分冊1 )
中世英文学とは、ノルマン人によるイギリス征服後の紀元前1100年から1500年ころまでの文学を指す。それでは、この時代における重要な詩人と散文作家について述べてみたい。
ウィリアム・ラングランド(William Langland,1331?-1400)は、ベネディクト派修道院で教育を受けた下級聖職者であった。その生活は大変貧しかったが、金持ちや貴族には絶対に頭を下げないという強い自尊心を持ち、それは代表作である『農夫ピアズの夢(The Vision of William concerning Piers Plowman)』にも表れている。この作品は風刺的寓意詩であり、ローマ教皇をはじめとした聖職者達や法曹界の腐敗に対する痛烈な風刺と批判が特徴的である。また、南部と中部の英語が混ざった方言を使用し、アングロ・サクソン風の頭韻を用いた。そしてこの作品は、頭韻を用いて書かれた最後の詩でもある。その文体は当時としては珍しく、民衆が理解できる易しい言葉で書かれ、内容も民衆の共感を得るものであったことから、最初の民衆詩として愛読され、大きな影響を与えた。このよ...