評価:B
2013年度 民法5(親族・相続) 第二課題 B01A
摘出推定および摘出否認の制度について論じなさい。
実親子関係は父子関係と母子関係に分けて論じられる。母子関係は「分娩の事実」(最判昭和37・4・27民集16巻7号1247頁)あるいは「懐胎、出産」(最決平成19・3・23民集61巻2号619頁)によって決定されるのが通説・判例となっている。父子関係は、子の母の婚姻の有無を媒介に決定されるという構造になっている。父子関係は、分晩等の明白な事実が存在しないため、法的に父子関係を成立させる。婚姻している母から生まれた子を嫡出子、婚姻していない母から生まれた子を嫡出でない子(非嫡出子)と呼ぶ。そして、嫡出子については子の母の夫を、一応子の父とする。このような法的技術を嫡出推定という(772条)。嫡出ではない子については、認知(779条)という方法で父子関係を決定する。嫡出推定の内容について、以下に論じる。
夫による懐胎かどうかは、客観的な事実として明らかにすることができない。そこで民法は、夫婦間における貞操義務の遵守を信頼し、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子であると推定した(772条1...