「国民総幸福度(GNH: Gross National Happiness)」で知られるブータンについてのレポートです。ブータンは王が自ら憲法を作って民主化したり、近代化しすぎず伝統を保護して観光を促進するなど独自の国づくりを勧めています。通常の経済発展とは違う、「幸せ」を中心にすえたブータンの国づくりについてまとめました。
ブータンの発展と国民総幸福度
0.ニュースソース
“Crowning Glory”, The Economist , Nov 13th 2008
ヒマラヤの奥地に世界で最も若い民主主義の国、ブータンがある。成立1世紀を迎える新しい王朝では新しい君主の戴冠式が行われ、第五代君主は先王によって始められた民主化と開発の経路に続くと誓約した。その進歩の方法として、彼は父親がGDPに変わる概念として打ち出したGNH(国民総幸福度)という概念を受け継ぐようだ。今年GNH委員会が行った試験調査では、国民の3分の2以上が幸福である、と分類された。国連の人間開発指数はブータンが177カ国中133位であることを示しているが、ロンドンのシンクタンクであるNew Economics財団はブータンを13番目に満足度の高い国として位置づけた。当分の間GNHの4つの柱(持続可能な開発、文化の保護、環境保全、良い統治)は続きそうだ。しかし、伝統の定義など不明瞭な点は多い。国民は国王を信頼し安心しきっているが、結果として彼が国を沈めることに気づくのではないだろうか。
はじめに
1.1発表の目的
ヒマラヤ山脈東部の小国...