M6104、R0111、日本文学概論のレポートです。
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芥川龍之介の『鼻』を読み、出典と比較して論ぜよ。
はじめに
「鼻」は大正五年二月に第四次『新思潮』創刊号にて発表された芥川龍之介の作品である。「鼻」を読んだ夏目漱石は「文章が要領を得て能く整つてゐます敬服いたしました。あゝいふものを是から二三十並べて御覧なさい文壇で類のない作家になれます」と述べて絶賛し、芥川龍之介は創作に対する自信がついた。
「鼻」の出典は、『今昔物語』巻第二八「池尾禅珍内供鼻語第二十」と、『宇治拾遺物語』「鼻長き僧の事」である。このことは、第四次『新思潮』創刊号の初出本文にて「禅智内供は、禅珍内供とも云われてゐる。出所は今昔(宇治拾遺にもある)である。しかしこの小説の中にある事実がそのまま出てゐるわけではない」と付記されており、芥川龍之介自身が『今昔物語』と『宇治拾遺物語』を参考にしたことを明らかにしている。また、芥川龍之介の「鼻」は、ニコライ・ゴーゴリの「鼻」やJ.Mシングの『聖者の泉』と共通点が多いことも指摘されている。
「しかしこの小説の中にある事実がそのまま出てゐるわけではない」とあるように、芥川龍之介の「鼻」は、出典とは大きく異なる点が多い。そ...