医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)の起源は1895年、英国のCОSの総領事ロックが、無秩序な施療の実施の改善とを構想し、アルマナーを王立施療病院に配置した事から始まる。1905年には米国のキャボットが、自然科学主義が台頭する中で非人間的になる医療のあり方を糺すための改革の一つとして、マサチューセッツ総合病院に最初のMSWを雇用した。
わが国では、1919年、東京泉橋慈善病院にて相談部が設置され、上流階級婦人による相談や困窮する患者の寝具や日用品を調達する等身の回りの援助がなされた。1929年には、米国で専門的に学んだ浅賀ふさが聖路加国際病院に採用、医師・看護師とチームを組み、結核相談を中心に、結核患者の療養問題や発病によりその家族が陥る問題等について相談援助を行った。だが、戦前はMSWの認識として、病院組織の一部としては受け入れられず、普及には至らなかった。
第二次大戦後になると、1947年にGHQ主導の下、保健所に医療社会事業員を置く事が規定され、初めて法的根拠が与えられた。当時のMSWには何ら行政上の権限がなかったが、GHQの強力な示唆から厚生省は多くの通達を出し、それによ...