施設コンフリクトとは、身体・知的あるいは精神障害者や高齢者のための社会福祉施設の新設計画が、近隣住民の反対運動によって中断・停滞する人権摩擦のことであり、このことが障害者の地域生活支援施策整備推進の妨げになっているとの行政見解もある。
精神障害者施設への反対件数は近年増加しており、反対運動の帰結と反対理由は、ここ30年ほとんど変化が見られていない。反対件数が増加した理由としては、精神障害者の利用する小規模作業所の急増にみられるように、精神障害者施設が地域の中で近年急増していることが考えられる。住民の意識について、旧来の障害者施策における啓発活動によって変化していれば、ここまで反対件数が増加することはなかったと思われ、少なからず精神障害者施設に関しては意識の変化がほとんど起こらなかったといえる。このことは、以前より進んだといわれる身体障害者への理解と較べても状況の違いが明らかである。その大きな理由として、①身体障害に比べ精神障害への理解のしにくさにがあること、②障害者福祉として正式に根拠付けられたのが1993年の障害者基本法であったように、精神障害者に対しての社会参加の制度が発展して...