認知症とは、一旦獲得した知的機能・精神機能が、後天的な器質的要因により低下することで日常生活や社会生活に支障をきたしている状態を指し、①皮質性認知症と②皮質下認知症の二つに大きく分けられる。認知症の半数以上を占め最も多いのが、皮質性認知症に含まれるアルツハイマー型(AD)であり、特徴として脳そのものの萎縮があり、多くは老年期に発症する。ADの発症はβアミロイドの脳内への沈着という原因があり、沈着は10年以上前から徐々に進行するなど素因が関係している。発症の危険因子としては、喫煙、高血圧、糖尿病などがある。
ADの症状は、中核症状と周辺症状に分けられる。中核症状は、脳の器質的な障害を直接反映した症状であり、認知機能が障害されることで引き起こされる。具体的には、記憶障害や見当識障害などで、生活障害に直結する。周辺症状は、せん妄、妄想、抑うつ、興奮、徘徊など、随伴的な行動・心理症状であり、これは中核症状をもとに生じた精神的・社会的な反応である。これらは周囲の者を困惑させることから問題行動といわれていたが、現在ではBPSD(認知症に伴う行動心理症状)といわれている。
ADの初期症状(発症...