介護保険は、高齢者に必要な介護サービスを提供する目的で1997(平成9)年に作られ、2000(平成12)年より施行された比較的新しい社会保険制度である。介護保険が創設される以前の社会福祉制度は、老人福祉法や老人保健法に基づいて行われる介護サービスだったが、様々な問題を有していた。このため、社会保険の仕組みを用いた新しい介護保障システムが構築されることとなった。この介護保険は、市町村が保険者となって運営する制度であり、被保険者の範囲、保険料負担、保険給付などにおいて特色のある制度となっている。特に保険給付の支給にあたっては、要介護認定や介護サービス計画(ケアプラン)の作成など、ほかの制度にみられない独自の利用手続きがとられ、制度施行後も度々改正が行われている。
2005(平成17)年には、急激な介護給付費の増加に伴う保険給付のあり方の見直しを目的とした介護保険法の改正が行われた。改正では、主に介護予防を重視した給付体系となり、主に三点が変更された。まず、介護予防が再編成され、筋力トレーニング・転倒防止訓練・口腔ケア・栄養指導が加わった。また、施設における食費・居住費とも保険給付対策では...