我が国は、1961(昭和36年)に国民皆年金を実現し、高度経済成長期に給付改善を行った。制度の仕組みは、年金の受給資格要件や年金額を過去の加入実績に基づいて定めていることから、制度改正にあたってさまざまな経過措置を設けており、複雑なものとなっている。
近年では、少子高齢社会における制度の長期的安定が課題になり、それに対応した改革が積み重ねられている。
具体的には、2000(平成12)年には、厚生年金(報酬比例部分)支給開始年齢の引き上げ、総報酬制の導入等の改正が行われ、2001(平成13)年には農林漁業団体職員の共済年金を厚生年金保険に統合、確定給付企業年金法、確定拠出年金法の制定といった改正が行われた。
2004(平成16)年には、最終保険料水準固定・給付水準自動調整方式(マクロ経済スライド)の採用、基礎年金の国庫負担割合を2009(平成21)年度より従来の3分の1から2分の1に引き上げることを決定、年金額改定方式の見直し、育児休業期間中の保険料免除の拡充等、離婚時の厚生年金の分割、第3号被保険者期間の厚生年金の分割といった改正が行われた。第3号被保険者については、国民年金の第3号...