「地域福祉の概念規定における機能的アプローチと構造的アプローチについて述べよ。」
わが国における社会福祉の発展において、地域福祉が実態として登場してくるのは1970年代以降のことである。戦後の高度経済成長に伴い、国民のライフスタイルは大きく変容し、社会福祉のニーズは非貨幣的なものへと移り変わり、多様化していった。また、少子高齢化や核家族化に伴う人間関係の希薄化により、生活の場であるコミュニティの再構築に対する期待が高まるようになる。この頃、イギリスで発展したコミュニティケアの思想や地方分権型のサービス、さらには制度的な福祉サービスと非制度的な社会福祉活動の連携による社会福祉の展開が重要視されるようになり、日本の社会福祉政策に大きな影響を与えた。これらの概念が実践されるようになったのは、1990年の社会福祉関係八法改正からであり、地方分権を基盤とした施設・在宅サービスの一元化が図られた。さらに2000年にはより一層地域福祉の推進を図るため、社会福祉事業法の社会福祉法への改正が行われた。
〈地域福祉の概念〉
地域福祉の概念は、構造と機能という相互補完的な概念から構成される。地域福祉に...