「障害者の雇用の現状と課題について述べよ。」
〈障害者雇用促進法について〉
わが国における障害者施策の基本となる法律は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下「障害者雇用促進法」)である。同法は1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」に改正が重ねられ、現在の法体系へと整えられている。障害者雇用促進法では、障害者の雇用の促進に加え、雇用の安定や職業リハビリテーションを目的としている。
障害者雇用促進法では、障害者の雇用を民間企業や国及び地方公共団体に義務付けることで、障害者の雇用を促進している。具体的な対策として、同法において、雇用率制度と納付金制度が定められている。
雇用率制度とは、全労働者数に占める障害者の割合を、民間企業(常用労働者数56人以上の企業)には1.8%、国及び地方公共団体(職員数48人以上の機関)には2.1%以上となるように定める制度であり、定められた割合を法定雇用率と呼んでいる。法定雇用率では、重度障害者については1人を2人分として、また、重度障害者を短時間労働者として雇用した場合には1人分として、それぞれ算入される。
納付金制度とは、法定雇用率未達成...