「在宅福祉サービスの体系と介護保険制度について」
わが国では、急激な人口の高齢化の進展に伴って、寝たきりや認知症などにより介護を必要とする高齢者が増加している。このことは、核家族化の進展などによる家族の介護機能の変化などとあいまって、介護問題をより深刻化させる一因となっている。これらの問題に対応するため、近年注目されている在宅福祉サービスと、国民の共同連帯の理念に基づき、社会全体で介護問題を支える仕組みである介護保険制度について、以下に述べる。
〈在宅福祉サービスの体系について〉
在宅福祉サービスとは、日常生活において援助が必要な障害者や高齢者が、施設に入所するのではなく、住み慣れた家や地域での生活を維持するために利用することができる介護や家事援助を中心とした福祉サービスの総称である。
在宅福祉サービスは、要介護者と要支援者を対象とした「要援護高齢者サービス」と、比較的健康な高齢者の生きがい対策や介護予防を目的とした「社会活動促進サービス」の二つに大別される。
要援護高齢者サービスは、ADL(日常生活動作能力)が低下した状況にある高齢者を対象として、直接的な介護サービスや間接...