「医療保険制度の概要について」
医療保障制度の方式は、①公費負担で医療を供給する医療サービス型、②社会保険制度を用いる医療保険型に大別される。わが国の医療保障は医療保険型を採用しており、疾病の予防・治療・リハビリテーションなどの保健医療サービスの機会を公的責任で保障し、国民の健康の保持・増進を図っている。加えて、老人保健や公費負担医療といった医療サービス型の制度も採用している。医療保険は、傷病が発生したときの医療の現物給付や生活費の保障を目的とする社会保険であるが、併せて分娩、死亡のときにも一定の保障を行うことになっている。ただし、業務上や通勤途中の事故や怪我は、労働者災害補償保険の適用となる。
わが国では、1927年から実施された「健康保険法」に始まり、1961年の国民皆保険の達成により、全国民にわたる生活安定の基礎がつくられた。国民皆保険とは、すべての国民が何らかの医療保険に加入し、傷病が発生した際には、加入している保険から医療の給付を受けることができる体制のことである。
社会保険としての医療保険は、以下のような特徴をもつ。
①原則として、一定の資格を持つ人は強制的に加入...