「ライフサイクルの変化と高齢者福祉について」
わが国では、戦後の経済成長とともに高齢化が急速に進み、現在では世界でも有数の長寿社会となっている。2004年簡易生命表によると、平均寿命は男性78.64歳、女性85.59歳となっており、1947年と比較すると男女ともに30歳ほど上回っている。わが国では、65歳以上の高齢者が全人口に占める割合は20.0%を超え、これは国民生活の向上と公衆衛生や医学医術の進歩など、社会保障の充実によって築き上げられたものである。しかし、このような平均寿命の急激な変化は、ライフサイクルに大きな変化を与えるばかりでなく、少子化問題や家族関係などの人間の一生を取り巻く環境にも影響を及ぼしている。ライフサイクルの特徴的な変化とそれに伴う高齢者の生活問題について、以下にまとめる。
①少産少子化傾向の進行
わが国の合計特殊出生率(2004年統計)は1.29人となっており、人口を維持するために必要な2.08人を大きく下回っている。そのため、高齢化率は引き上げられ、高齢化が進行する要因となっている。少子化の原因や背景として、未婚化・晩婚化の進展、夫婦の出生力の低下、仕事...