「障害者の就労支援について述べよ。」
1.序論
家族、児童、高齢者の問題など日本の現代社会のあらゆる問題はすべて結局「就労」の問題に関係しているといっても過言ではない。結婚し家族を作り、児童を養育することの人生設計には「就労」の基礎があり、高齢者の介護においても家族などの「就労」が大きく関係している。
また、海外から「働きすぎ」、「ゆとりがない」と揶揄される日本人の生活、人生において、「仕事こそ人生」というべき現状が存在している。このような社会において、障害により働くことにハンディを持つ人にとって、「職業」とはいかなる意味を持つだろうか。むしろ、働けないということで「職業」により、人格、人生を否定されるという意識が強いのではないだろうか。障害者自立支援法の施行以来、「福祉から雇用」と政策が進められ、障害者が従来の福祉に甘んずることなく自己に誇りをもって一般雇用を実現することが目指されたが、制度と現実のギャップにより見直されつつあるのが障害者の就労支援である。本稿では、障害者の就労の理念、制度、現実を再確認し、「雇用による福祉の拡充」としての障害者の就労支援の在り方を探ってみたい。
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