「精神医療の歴史及び精神医学の概念について述べよ。」
Ⅰ.序論
精神に関わる分野は、医学物理的な観点のみならず、人間そのものに関わるものであるだけに、宗教やその他社会背景に関係する思想に多く影響されてきた。その精神の病について医療・科学という概念で対応し、治療を試みたのは西洋では、ルネサンスにより人間の解放が行われたことによるものであった。精神医学の発展、展開は、障害者福祉の人権思想と無縁でなく、一般人の精神障害者観に影響を与えてきた。本稿では、精神医療の歴史と精神医学の展開について、その背景を理解し、現在の精神医療に関係するソーシャルワークの実践に必要な素養を養うこと目的とする。
Ⅱ.本論
1.精神医療の歴史
古代ギリシアでは、精神障害は身体的なものと結びつけられていた。メランコリーという言葉は、「黒い胆汁」という意味であり、ヒステリーは「子宮」を意味する。それぞれ、胆道系、子宮の障害と精神的な症状が結びつけられて考えられていた。このようにギリシャ時代には、精神障害を病気とみなし、医療的な対応が行われていた。しかし、中世になるとキリスト教的世界観が支配的になり、精神病患者は悪魔憑きと...