「わが国の教育の目的について論述せよ。」
1. 序論
社会福祉を専攻する視点から教育を考えると、福祉と教育は別個のものではなく、本来、相互に非常に大きく影響を持つものである。現在の福祉が行われているのものこれまでの教育の成果であり、現在の教育が行われているのもこれまでの福祉の成果である。教育の目的を考察することは、福祉の目的を考察することに関係を持つ。教育における人間像は福祉における人間像と一体のものであるはずであり、教育と福祉を通じた人生観、人間観を形成するためには、教育についても考察する必要がある。本稿では、一個人の一生涯における施策において、教育と福祉が分断され施策が進められて来た現状を反省した上で、教育の目的について考察していきたい。
本論
本来、教育とは個人の意思と選択に基づいて、個人の生涯と生活そしてさらに高度な自己実現を生むものであるが、その人生の初期においてその教育を行うのは保護者であり、年長の教師、国家社会である。また、将来の社会を形成するための重要な施策であるため、その教育現場での授業、社会生活は、その社会における文化背景、価値観、時代背景の影響を免れない。教育の...