「産業化と社会の変化について述べよ」
1序論
イギリスで起こった産業革命、及び西洋を源流とする近代化は、世界各地、日本にも波及し、それぞれの社会を変容してきた。その変化を簡潔に言うと、工業化、核家族化、少子高齢化などであろう。現代社会は、これらの産業化による影響を受けた社会であり、この社会を前提に社会保障、福祉を考えていく。そこで、国家による社会保障、国民による社会福祉を必要とする我々のおかれている現代社会の特徴を、さらに深く、社会科学、社会がくの視点で理解することは、福祉を学ぶ上での大前提である。本稿の目的は、現代社会を特徴づける「産業化」に着眼し、それがもたらした社会の変化、例えば、家族構造がどのように変化したか、社会システムがどのように変化したかを考察し、福祉政策と制度の基礎との関連を明らかにする。
2.社会学的な「社会」観
●社会とは何か
社会を考察するその前提として、「社会」とは何かを理解することが必要となる。つまり、我々が普段何気なく使っている「社会」という言葉に対して、福祉の専門家として特別な「社会学的な社会のとらえ方」が必要である。その基礎とは、「システム思考」である...