現代の社会背景 高齢者 医療の発展 介護
「高齢者の介護は誰が担うべきか」
この4半世紀にわたる医学の進歩は、さまざまな疾患に苦しむ患者に福音をもたらした。今やわが国は世界一の長寿国となり、稀代の高齢化社会を迎えることになっている。しかし、決して健康寿命を延ばすことにはなっておらず、要介護高齢者の増加という恐ろしい現実を生み出す結果となっている。
さらに高齢者の介護および福祉対策は、わが国における社会変化により大きく影響を受け、費用面での負担の急増、高齢者に対する介護する側の人間の減少を生みだした。この問題に対し、介護技術をはじめとした医療専門職に限らず、わが国全体で高齢者を支えていかなければならない。そのためには、これから義務教育を受ける世代が医療専門職の知識・技術を身につける工夫と現状の義務教育のカリキュラムを見直していく必要があると考える。
以下にわが国における社会変化と福祉システムの相関性、現状の義務教育のカリキュラムについて述べ、今後の展望について考えてみたい。
まず、わが国の重要な社会変化について、人口の変化・労働の変化・家族の変化という三つの観点があると言われている。
(1)人口の変化
伝統的な社会...