総説アメリカ文学史 単行本 – 1975/4
大橋 健三郎 (編)
第4課題第1設題
モダニズムと社会参加の文学を参考にして、1910年以降の代表的作家と作品について述べる。
1920年代以降の文学界に絶大な影響力を示したT.S.Eliot(1888-1965)は、時代の社会的、心理的状況に極めて鋭い感性で現代社会へ作品を残してゆく。20世紀の最高傑作の一つであるThe West Land (1922)では、聖書や過去の名作から引喩、風刺などを用いて第一次世界大戦後の殺伐とした社会に新鮮な刺激を与えた。イギリス文学を意識しながらも、革新的な姿勢で新しい詩語や詩体を見出すことで知的芸術性を高めることに成功した。モダニズム詩として彼の発明は引用と言及を最大限に活用した作品である。次に、F.Scott Fitzgerald(1896-1940)は、新旧と明暗、生と生の批判など、二重のビジョンを巧みな表現により作品に表した。「ジャズ時代」は有名な作品の一つである。他に、小説The Great Gatsby (1925)がある。中西部出身の主人公の立身出世や悲恋を描いたもので、東部と西部を対比した。華麗な色彩描写やアメリカンドリームのモチーフなどを取り入れた...