「福祉計画と福祉行財政について述べよ。」
福祉計画の概念はその時代の社会的背景の影響を受けて意味内容が変化していく多義的なものである。例をあげると、介護保険制度においては、利用者一人ひとりの視点に立ってケアプランが作成される。また社会福祉法人の経営・管理計画や社会福祉施設の事業計画もある。地域では社会福祉協議会やNPO、ボランティアなどの活動があり、住民による社会福祉の問題の発見、問題解決のための計画づくりも行われている。 ここでは「福祉計画」を「客観的な情報分析に基づいて一定の将来像を明示し、かつそれを実現するための方針や指針、あるいはその具体的な目標値や手段などについて文書に明記されたもの」と定義することにしたい。
現在の社会福祉はさまざまな福祉計画によって推進されている。国の「高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略」を嚆矢とした長期的な福祉プラン、地方自治体の「老人福祉計画」「介護保険事業計画」など分野別の福祉計画、さらには民間の社会福祉協議会による地域福祉活動計画など、数多くの福祉計画が策定され、実施されている。 福祉計画が登場したのは、平成になってからであり、それまでは福祉行政が予...