佛教大学M6511,R0703「言語学概論」の第1設題レポートです。間違いのないレポートを目指して仕上げました。参考文献を記載しておりますので、ご自身でレポートを書かれる際の参考にしてください。
言葉の意味が脈絡によって異なる場合を、例をあげて説明しなさい。
コンテクストに依存する言葉の意味
言葉は何らかの意味を表す。ここに「水は透明だ。」という文があったとする。「水は透明だ。」が表しているのは(水は透明だ)という意味のみである。水は透明であることは事実であるから、「水は透明だ。」という文が表す意味は命題的な意味ということが出来る。命題的意味はコンテクストに依存しない。いわば、文字通りの意味を表しているのである。
しかし、私たちが日常用いる言葉はこうした命題的な意味だけを表している訳では無い。発話される状況が違えば、同じ言葉でもおのずと意味が変わる。
(1) あんたなんか嫌いよ。
(1)はどんな意味で使われているのだろうか。文字通りに意味を判別すれば、誰かが誰かに対して嫌いだという気持ちを伝えているように考えられる。しかし、それ以上のことは分からない。そこで、(1)を拡張して対話文にしてみる。
(1)’ ヒロシ:遅刻してごめん。
サトコ:あんたなんか嫌いよ。
(1)’では、“あんた”という語がヒロシのことを指すことが分かる。デートに遅れてきたヒロシに対して待...