ー高齢者福祉の新たな価値観に向けてー
少子高齢化が一層進行する中において、社会保障制度を安定的なものとして継続していくためには、高齢者や障害者、女性、若者の就業促進と、制度の担い手を拡大していくことが重要であると思われる。特に高年齢者の就業機会の確保については、高い就業意欲に応えるとともに制度の担い手としての役割が期待される。
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社会保障制度の現状と課題についての一考察
はじめに
少子高齢化が一層進行する中において、社会保障制度を安定的なものとして継続していくためには高齢者や障害者、女性や若者の就業促進と制度の担い手を拡大していくことが重要であると思われる。特に高年齢者の就業機会の確保については、高い就業意欲に応えるとともに制度の担い手としての役割が期待される。また増加する年金給付の抑制や健康状態の維持に向けた動機付けにもなり得るものであり、これは生活習慣病予防といった「医療制度改革」の方向性とも合致するのではないだろうか。改めてマクロレベルでの課題も含め考察していきたい。
1. 社会保障制度の現況
1-1. 社会保障に対する環境の変化
既に日本の人口減少は始まっており、2050年の日本人口は1億人を下回ることも予想されている。更に年齢別人口をみると、総人口に占める若年層の割合が伸び悩む一方で、高齢者層の割合が拡大化してきており日本における少子高齢化は今後も進行するものと思われる。併せて先進国の高齢化率と比較してみると、1980年代までは下位に位置していた日本であるが1990年代に入り中位にあがり、2005年に...