インド仏教の思想で、名称と本質の関わり方、および「空」の思想は、仏教徒の価値関係性において大きな影響を及ぼした。仏教独特の「空」の思想は、差別やジェンダーという問題を抱える現代にも適応できるのではないだろうか。ここでは、仏教では女性がどのように扱われてきたのか、初期仏教、アビダルマ仏教、中観学派のそれぞれにおける思想を軸に考察する。(本文1361字)
空の思想から見るジェンダー観
インド仏教の思想で、名称と本質の関わり方、および「空」の思想は、仏教徒の価値関係性において大きな影響を及ぼした。仏教独特の「空」の思想は、差別やジェンダーという問題を抱える現代にも適応できるのではないだろうか。ここでは、仏教では女性がどのように扱われてきたのか、初期仏教、アビダルマ仏教、中観学派のそれぞれにおける思想を軸に考察する。
初期仏教において、仏陀は生まれによる差別を否定している。苦しみを滅する八つの正しい道を説いた八正道では、あるがままに見ることを意味する「正見」が含まれる。「当時は、生まれによって貴賎が決まるとされたり、その生まれも業(Pal. ...