日大通信 民法4(分冊2)の合格レポートです。
レポート作成の参考にご利用ください。
1.両親の責任について
本件の場合、少年の両親は、民法714条による監督者責任は負わないが、監督義務者としての監督義務違反と、少年が与えた損害との間に相当因果関係を認めうるため、民法709条の一般不法行為による責任を負うと考えられる。このとき、両親の故意・過失の立証責任は原則どおり被害者が負う。以下、一般不法行為と、この特則である監督者責任について述べる。
2.一般不法行為の要件
不法行為が成立するためには、故意・過失、責任能力、権利、または法律上保護される利益の侵害、損害の発生、因果関係、違法性阻却事由がないことの各要件を満たす必要がある。
ここで、過失とは、かつては行為者の主観的な意志の態様として結果発生を知ることができたのに注意しなかったという心理状態とされてきた。しかし、現在では、損害発生の予見可能性があるのにこれを回避する義務(結果回避義務)を怠った場合に過失があるとされ、過失の重点が意志の態様から行為の態様に移るようになった(過失の客観化)。これは、不法行為では、損害をひきおこした当該加害者の個人的能力を基準とした過失(具体的過失)ではなく、その加害者が属する職業...