ロマンチック・ラブ・イデオロギーの観点から、家族について考察している。
愛情は家族という制度体を十分に保障できるだろうか
社会学 愛情は家族という制度体を十分に保障できるだろうか
はじめに
「家族」は、時代や社会によって、その目的や体系を変えてきた。前近代では近代
産業の発展、近代国家から生まれた、近代家族とよばれる制度体に関しては、愛情
というものが家族を形成するものとして強調されるものとなった。愛情というものは、
家族という制度体を十分に保障できるのであろうか。
本論で注目したいのは、ロマンチック・ラブ・イデオロギーについてである。家族社
会学などにおいては、近代以降の結婚は、ロマンチック・ラブを経験した結びつきであ
るべきだという観念が広まり、恋愛結婚や近代家族のあり方を規定しており、家族を
形成するにあたって最も重要な主張であると考えられる。夫婦の恋愛観を考察するこ
とで、家族を形成し存続させる要素が見えてくるのではないだろうか。
そこで以下に、構造化理論、再帰的近代化論の提唱で現代社会学に大きな影響を
与えている社会学者アンソニー・ギデンズの説(「社会学」第五版)を元に、家族につ
いて解説し、ロマンチック・ラブ・イデオロギーから「家族」への影響について論じる。ま
た、現代の観点から家族の...