社会1
1 社会科と道徳教育の関係は、終戦後は密接なものであった。両者に共通する教育姿勢として、「これからの社会を生きる豊かな人格形成を目指す」とされていた。終戦後、日本側独自の対応として、公民科教育構想があった。従来の修身とは違った道徳性育成の教育を考え、公民科設置を考えていた。今までの修身が、知識偏重型であり、また一つの思想を児童・生徒に押し付けようとしていた教育からの反省に立ち、知的指導と実践指導の二側面から成り立つ公民科は、日常生活や社会生活に内容の重点を置き、児童・生徒に対して、社会生活を学びながら人格形成を目指すことを目標とした。
結局、公民科特設はならなかったが、社会科が昭和22年に誕生して、公民科の理念が社会科へ受け継がれていった。社会科で扱う内容は、社会生活や子どもを取り巻く問題が中心で、徳目内容を直接に取り入れることは少なかった。そうした社会科の教育を、従来の修身や地理、国史を受けてきて育った親や教師には、「社会科で何をやっていいのかわからない」や「基本的な道徳性や知識を教える事も必要ではないか」といった批判が日増しに多くなり、昭和25年以降、文部省内で道徳教育...