生活科 1単位目
1 生活科は平成元年学習指導要領改訂で、小学校低学年の教科として新設されたものである。当時の生活科の目標によれば、生活科が新設された意義として、次の4点を挙げることができる。それは、①具体的な活動や体験を通すこと、②自分と身近な社会や自然とのかかわりを生活者の視点に立って関心をもつこと、③自分自身や自分の生活について考えること、④③の過程において、生活上必要な習慣や技能を身に付けること、である。そして教科の究極的な目標は、①から④を通して、自立への基礎を養うことが掲げられた。この目標から導かれる教科の意義と、最終的な生活科を学ぶことで目指す児童の姿は、今次(平成20年改訂版)でも引き継がれている。本論では、こうした生活科の意義について、生活科が新設された歴史的背景について触れながら、述べていく。
生活科新設に至るまでの議論の歴史は古い。とりわけ、昭和46年の中央教育審議会答申による『今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について』によれば、低学年の教育について、これまでの教科の区分に捉われず、児童の知・情・体の総合的な教育及び低学年児童の発達段...