課題 1.「すべての人間は平等につくられている」という独立宣言の基本理念がアメリカ建国当初から多くの矛盾を孕ん
でいたことを、具体的な例を複数挙げて説明しなさい。また、その矛盾がアメリカ文学の中でどのように描かれてき
たか、例として、黒人の描かれている作品や黒人作家の作品を取り上げ、重要な歴史上の出来事(南北戦争、ハー
レム・ルネッサンス、公民権運動、等)と複数の作家の作品に言及しながら論じなさい。(1200 字程度)
2.「学習要点事項」に挙げたアメリカ文学史上の時代区分に沿って、それぞれの時代の特徴、直面していた問題、
文学への影響等を確認してください。その上で、現在アメリカ文学を学ぶことの意味について、具体例を挙げなが
ら、あなたの考えを述べなさい。(800 字程度)
1776年、アメリカはイギリスからの「独立宣言」を発表した。独立宣言の基本理念である「すべての人間は平等につくられている」という基本理念は、精神の理念としてアメリカの13自治体で共有されていた。しかし、この理念がアメリカ建国から多くの矛盾を含んでいた。対外的には、アメリカの法体系が依然としてイギリスの法体系に準拠しているものが多く、経済面でもイギリスに従属する部分が少なくなかった。
対内的な矛盾としては憲法に明記された「5分の3」条項は、政治的代表者を決定する各州の人口算定において、黒人5人を白人3人として算定するという方策が存在していた事が挙げられる。当時黒人の95%は南部に住んでおり、南部の人口に対しては3分の1に達していた。これに対して北部における黒人の人口比率は1%に過ぎなかった。黒人は投票権がなかったために、黒人を頭数に入れて議席数を増やしても、実際は白人のみが議員となった。アメリカの南部の州で黒人奴隷が多く使われていたことから、南部州の議席が北部州より多く、結果として南部の白人が政治に大きな影響を与えていた。このことから、後のアメリカ南北戦争のきっかけとなる奴隷問題が、政...