「精神保健における個別課題の取り組みについて述べよ。」
日本の精神保健における個別課題への取り組みには、精神障害対策、認知症対策、薬物乱用防止対策など様々なものがあるが、本稿では、アルコール関連問題対策について述べる。
「精神保健における個別課題の取り組みについて述べよ。」
日本の精神保健における個別課題への取り組みには、精神障害対策、認知症対策、薬物乱用防止対策など様々なものがあるが、本稿では、アルコール関連問題対策について述べる。
日本は、飲酒人口が多く、飲酒に対して寛容な文化をもち、共同体のさまざまな伝統行事や生活習慣に深く入り込んでおり、社会的に容認されている。しかし、アルコールは適量を超えればさまざまな弊害をきたす。かつて社会は、度を越した酩酊を繰り返しては、健康を損ない、自らの社会的責任を放棄し、さまざまなトラブルを起こして周囲に迷惑をかけている者を「不道徳」「意識薄弱」と非難し、叱責や処罰の対象としていた。しかし今日、これらは道徳的問題でなく医学的問題とみなされ、アルコール依存症という病名で呼ばれるようになった。2003年に厚生労働省研究班で実施された全国調査の結果に基づいて推定した、国内におけるアルコール依存症罹患者数は80万人だが、実際にアルコール依存症の治療のために医療機関を受診している患者の数は約43000人(5.4%)であり、未治療のアルコール依存症羅患者は非常に多く、近...