佛教大学通信教育部(精神保健福祉士)の合格レポートです。日々の勉強の参考としてご活用ください。
「これまでの精神保健医療・福祉改革の流れを整理し、現在の政策的課題と今後の展開につきて検討しなさい。」
近代社会の成立以前には、精神保健医療に関わる普遍的な社会制度が作り出されることはなかった。わが国においては西欧などと比べ精神障害者を直接的に差別・迫害することは少なく、一部では畏敬の念を持ち地域での居場所を作るなどの寛容さを持っていたといわれている。例えば精神障害者の罪の軽減や税の免除規定、岩倉大雲寺の滝信仰に集まる精神障害者を近隣の民家が預かるという地域の協力体制、また身体障害者は畑を守る神として考えられてきたことを象徴する「案山子」の存在などがそれを物語っている。
こうした流れが急激に変革するきっかけとなったのは、経済の発展や都市化が進む「近代社会」の成立である。こうした「近代化」によって人々は3つの自由を手にいれることになる。ひとつは「住む土地」からの自由である。二つ目は「職業選択」の自由、三つ目は「結婚」の自由である。この3つの自由によって豊かな人生を得ることができるというスローガンを持っていたのが、近代社会幕開けの特徴といって良いだろう。言い換えれば自分自身を希望の場所...