「日本の地域福祉に影響を与えた海外の考え方について述べよ。」
1、はじめに
世界各国の社会福祉は、その国の文化・風土に根ざして独自の発展の途をたどっている。しかし、世界の福祉の先進国と考えられている、イギリス、アメリカ等の社会福祉の動向には、わが国の地域福祉と共通する面が少なくなく、その分析はわが国の地域福祉の方向付けを正しく行う上で重要な意義を持っている。イギリスにおいては、地方自治体を中心とした社会福祉システムを構築し、同時にボランタリーセクター(公私関係)を重視してきた点が、日本の地域福祉に影響を与えた。また、アメリカのコミュニティにおけるソーシャルワークも日本の地域福祉に影響を与えており、両国のソーシャルワークの実践が変化してきていること、そうした変化における日本との共通性を見出すことができる。以下に、わが国の社会福祉に大きな影響を与えたイギリスとアメリカの歴史的な動向を通して、両国の地域福祉に関連する考え方を述べていく。
2、イギリスにおける地域福祉の展開
イギリスは、慈善組織協会(COS)の活動、それに続いてセツルメント運動を生みだした国で、戦後の...