平成26年度 日本大学通信教育部 法学(分冊1)
平成26年度6月にレポートを返却され、「簡潔な言葉で要領よくまとめています」との評価を頂きました。参考までにご利用いただければと思います。
<課題>
裁判規範の1つとして、刑事訴訟法319条1項がある。この規定の機能について論じなさい。
<本文>
自白は自分の犯した罪の全部、もしくは一部を自らが認める供述であり、その供述は、何よりも有力かつ強力な犯罪の証拠だとされてきた。しかし、その結果、裁判において自白が過剰に尊重され、自白を唯一の証拠として有罪判決が下されるという結果にも繋がってしまっていた。そのような状況に歯止めをかけるため、刑事訴訟法319条1項では、自白に一定の制限を設けている。本リポートでは裁判規範の1つとされるこの規定の機能について、捜査や一般国民への影響を考えながら論じる。
日本国憲法38条2項では、「強制、拷問又は脅迫による自白・不当に長く拘留又は拘禁された後の自白は、これを証拠とすることはできない」としている。刑事訴訟法319条1項ではこれに加えて、その他任意にされたものでない疑いのある自白についても証拠とすることはできないとし、自白に制限が設けられている。また、同条2項では自白のみを根拠として有罪にすることができず、有罪には他の補強証拠などを伴わなくてはならないとしている。つまり、自白に一定の制限...